くらしをつくる人NOTE

Vol.16
2023.3.1
Vol.16 陶芸家 船串篤司さん <ART編>

人に優しい町

水戸に生まれて、笠間で陶芸を学び、新居も笠間に構えた船串さん。 僕たちからすると自然も近くて、食も豊かでとても羨ましい茨城ライフ。

この環境が船串さんのものづくりにどのように影響しているか興味津々です。

金子「笠間との繋がりがご自身の作品に影響していることはありますか?」

船串さん 「はい。笠間のことを意識しながらものづくりをしていますね。 笠間って益子程は知名度が無いんですよ。生意気かもしれないですけど、 僕が外に出ることで笠間のことをもっと知って頂けたらいいなと思っています。 僕は水戸で育って、笠間の学校に通っていたので自分にとっては当たり前の場所なんです。 でも、独特な町だなとも思いますね」

金子「どんなところが独特なのでしょうか?」

船串さん 「ものづくりの人がいっぱいるところですね。変わった人が多いというか。 笠間は誰でも温かく受け入れてくれるんですよね。だから県外から移住して来る方がとても多いんです」

金子 「そうなんですね。この自然環境もとても魅力的です!」

船串さん 「身近な自然からも沢山影響を受けていますね。 自然が作ったものってやっぱりすごいじゃないですか」

金子 「うんうん」

船串さん 「釣りに行って、石や岩を見ていると時を重ねて生まれた色って本当に綺麗だなあって思うんですよ。 古道具にしてもそうですけど、年月をかけて育った佇まいは美しいですよね。 でも、僕がその風合いを目指して、わざと汚したようなものを作っても 古いものにも、自然のものには敵わない。 結局は人が作っているものだから。 自然物のような美しさを表現できたら、かっこいいだろうなと思いますね」

金子 「自然への憧れについては、雨晴に関わっている作家さんたちがよく話をしてくれます。 インスピレーションの源はやはり自然から、そして自然の美しさには敵わないとも」

船串さん 「料理も手の込んだものでなくて、素材と塩だけとかそっちの方が究極なんじゃないかって思うようになっていますね。 うまい野菜はそのまま食べた方がいいかなとか。歳のせいかな?(笑)」

金子「同じくです(笑)」

船串さん 「一時期、その辺りに落ちている朽ちた木とか石とかそういうのでいいんじゃないかなって思っていたんですよ。 わざわざ、うつわを作らなくても(笑)」

金子「(笑)昔のうつわは葉っぱだったりしたわけですからね」

船串さん 「この辺には柿の葉も落ちているんですけど、とっても綺麗なんですよね」

金子「抗菌効果もあるし、理にかなっていますね」

船串さん 「やっぱり素朴なものっていいんですよね。料理もそうで今の時季だったら、 ふきのとうを自分で採ってとか。一番の贅沢ですよね」

金子 「本当に羨ましいです。それを伺って、奥様は船串さんにとってベストパートナーなのだろうなって益々思いました。 ご自身で森に入って食材を探されたりとか」

船串さん 「そうですね。僕も息子を連れて山に山椒を取りに行ったりするんですよ」

金子「いいですねー」

船串さん 「去年の春に息子たちが “ふきのとうが出てたから採ってきたよ!” って言ってくれて。それがとても嬉しかったですね」

金子「それは嬉しいですね!」

船串さん 「早速、料理をしたのですが、子供たちは苦いから食べなかったですね(笑)。 僕が美味しいって言うから採ってきてくれるんですよ。こごみとかも」

金子 「優しい息子さんたちですね!昔は当たり前だったことですけど、今はそれが一番贅沢ですよね。 船串さんのファンは都心部に住む方が多いと思いますけど そういうライフスタイルに憧れを持っている人も沢山いらっしゃると思います!」

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目指せN.Y. !!