くらしをつくる人NOTE

Vol.4
2016.10.21
陶芸家 村上雄一さん

一人民藝

村上さんの作品は陶器、磁器、半磁器、耐熱器の4つの素材から生み出されています。
それぞれの素材と向き合いながら、その特徴を生かすことを考え、
素材に無理をさせず、機能的で日常使いしやすいうつわ作りを目指しています。

なぜ、これだけの素材を用いるようになったのか。

金子「村上さんは陶器、磁器、半磁器、耐熱器という4種類の素材を用いて、異なる雰囲気の作品を作り上げているのが魅力的だなと。一見すると同じ人が作ったとは思えないほど、それぞれが個性的ですよね」

                         

村上さん「カメレオンって呼んでください(笑)」

金子「沖縄では陶器のうつわを学んでいたと思うのですが、なぜ磁器などの他のものも作るようになったんですか?」

村上さん「いい所どりしたい! 一人民藝をやりたい!! って思っているんです」

金子「一人民藝?」

村上さん「僕の考える民藝というのは、動き続けてその時代の文化を創ることです。つまり、いまのくらしに合ったものを考えてものを作り続けるということです。用途によっては、陶器が向いていたり磁器や耐熱器が適しているものもある」

 

金子「それを実現するために、素材のバリエーションを持つ必要があったということですね」

村上さん「はい。“村上らしさ=素材と用途のチョイス”だと思っています。例えば紅茶をいれるポットは、やっぱり磁器かガラスが合うと思うんです。陶器だと染み込んでしまうし、味も苦くなる。逆にご飯茶碗は陶器が良いなあと。陶器自体に保温性があるので温かいまま食べることができる」

金子「結果、“村上らしさ”が使う方にとって使いやすいということにも繋がっている」

村上さん「そうであると良いなと思っています」


東京生まれ、東京育ち

東京生まれ、東京育ちの村上さん。
沖縄と多治見での修業を経て、土岐で作陶しながら最近思うことがあるようです。

金子「村上さんが目指す焼き物とは、どういうものなのでしょうか?」

村上さん「最近思うのは自分のアイデンティティが東京に戻ってきているなと。素材と用途のチョイスが村上雄一の特徴と先程お話しましたけど、高校の時は古着屋やアンティークのお店にバイト代を握り締めてよく買い物に行っていたんです。自分の直感でチョイスしていたその頃の感覚が、また戻ってきていると」

           

金子「村上さんの作品はどれも洗練されているなと感じます。良い意味でいまっぽさがちゃんとあると」

村上さん「どんな素材を用いても、モダンですっきりとした、とがりすぎていないバランスの取れたもの。これが実現できたら良いと思っています」

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村上流のマカイ