くらしをつくる人NOTE
2022.5.6
POP or PUNK?
金子「以前、空間鋳造の岩清水久生さんが田中さんはクレバーだから全部考えてやっているんですよって教えてくれたんです(笑)」
田中さん「当りですねー(笑)。それはさっきの漫画家の方の話と一緒のことだと思います。
ものづくりの根底にある精神はPUNKなんだけど作品にはそれがあまり出ていないんじゃないかなと思います。特に色のうつわには」
金子「まさに“POP or PUNK”ですね(笑)。
価格がリーズナブルな理由もよくわかりました。
田中さんが最大公約数を意識されているっていうことは、結果お客様にとってもよいことなんだろうなって思います」
田中さん「最大公約数ってものの魅力も値段も含めてそうでありたいっていうことなんです」
金子「なるべく多くの方の感性に響く“色のうつわ”があるからこそ、
それが入口になってより陶芸らしい“B面的な作品”にも興味を持って頂く方が増えるというのは、お客様にとってもすごくいいことですよね!」
田中さん「実はB面的な作品は絶対ひねくれたコンセプトを持っていまして。
これなんかは土ものっぽいじゃないですか。でも色のうつわの削りカスを集めて生地にしている磁器なんですよ。
磁器って再生すると鉄粉といって黒い斑点が出やすいので白いうつわを作るのには向かないんです。それにシャモットっていう陶器の素焼きの粉を混ぜ込んで、こういう荒っぽい表情を出しているんです。自然な素材とかも全く使っていない、なんちゃって陶器みたいな作品です。
僕のB面作品って一見、“おっ、やきものど真ん中の方に寄せていったな”って見えるんですけど実は違うんですよ。
そこには僕なりの反発心とか人と同じことはしないぞって気持ちがあるからなんです。
一見、ベーシックなものを作っていてもアプローチを変えることで作品にオリジナリティが出てくるのを狙っています。それが僕の拘りなんですよね」
羊 or 珍獣?
金子「持ち前の反骨精神が何かの起点になっているのは間違いないと思うんですけど
表現としては、間口を広くとって、計算された中で制作されているのですね!」
田中さん「岩清水さんはよくわかってらっしゃるなあと(笑)。
クレバーかどうかは別にして、計算してやっている部分ってあるんだと思います。
そういっちゃうとすごいつまんないんですけど(笑)」
金子「そう考えると田中さんの作品は羊の皮を被った狼みたいですね(笑)」
田中さん「狼ではないんじゃないですか(笑)。羊の皮を被った珍獣みたいな(笑)」
金子「みなさんは珍獣な部分にまだ気が付いていないと思います(笑)」
田中さん「性根はひねくれているんですよ(笑)。
だから音楽とかもそうで、僕が聞いている80年代のUKネオアコは聞きやすいんですけど元をたどるとPUNKに辿り着いたりするんですよ」
金子「(笑)創和堂さんのバーカウンターで呑みながら僕が気が付いてしまった田中さんのPUNKな側面をこのコラムを通じてお客様に伝わると嬉しいなと思います。
本日はありがとうございました!」
田中さん「この辺でお開きということで(笑)。
ありがとうございました!」
長文にも関わらず最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。
田中さんは果たしてPOPなのかPUNKなのか?
作品をご覧になって、皆様の目でお確かめ頂ければ幸いです!
田中信彦 × 雨晴
「POP or PUNK?」
場所/会期
白金台 雨晴 / 2022年 4月22日(金)~ 5月8日(日)
営業時間 : 13:00~18:00
※会期中の休業日 月火水曜日
春の情景を思わせる色彩豊かな表現を得意とする「陶芸家」田中信彦さんの雨晴での初個展を開催いたします。
POPに見える田中さんの作品の内面から感じとれるのはPUNKスピリッツ。
確かな技術や感性と反骨精神が掛け合わさることで生み出されたその美しい表情に世界中の料理人からも注目が集まっています。
本展では代表作「色のうつわ」は勿論のこと、B面的な渋めの作品もラインナップ!
田中さんのPOPでPUNKな作品と共に
みなさまのご来店をお待ち申し上げております。
会期: 2022年4月22日(金)-5月8日(日)
※ 会期中の休業日 月・火・水曜日
営業時間:13:00~18:00
◇場所
雨晴/AMAHARE @amahare
東京都港区白金台5-5-2
03-3280-0766
info@amahare.jp
◇作家在廊予定日
4月22日(金)、23日(土)
◇来店のご予約について 事前予約などは不要となりますので、開店時間にあわせてご来店ください。
◇オンライン販売について
オンラインショップでの販売については未定です。
詳細が決まりましたらSNSやメルマガでお知らせいたします。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。
田中信彦
- 1966年
- 東京都練馬区生まれ
- 1990年
- 立教大学卒業
- 1991年
- 京都府立陶工高等技術専門校修了
- 1991〜93年
- 滋賀県八風窯勤務
- 1993〜95年
- 吉祥寺アトリエ飛行船陶芸研究所講師
- 1994年
- 埼玉県入間市に開窯
- 2001〜03年
- 日本クラフトデザイン協会会員
Photo / Yuka Yanazume
Interview / Kenichi Kaneko (AMAHARE)