くらしをつくる人NOTE

Vol.9
2017.10.02
宮城陶器 宮城正幸さん

古きを学ぶ

沖縄生まれ、沖縄育ちの宮城さん。

宮城さんのギャラリーには400年前に沖縄で焼かれた湧田焼を中心に、ご自身が集めている沖縄の古陶が並んでいます。

宮城さんの沖縄のうつわへの想いを伺ってみました。

金子「宮城さんは、生まれも育ちも沖縄。沖縄の要素をどのようにご自身の作品に取り入れていきたいと考えていらっしゃいますか?」

宮城さん「沖縄の焼き物ってそれが難しいんですよね。民藝運動以降の沖縄のうつわのイメージが一般的には強いと思いますが、さらに古い沖縄の焼き物を勉強していくと、シンプルで良いものが沢山あるんです。

昔の人が作ったとは思えないほどモダンなもの。クオリティもですけど、形もすごく良いものがあります。そういう仕事を自分もしたいなと思います。

沖縄は日差しが強いので、沖縄で作るものは焼き物に限らず派手になりがちですけど、
うつわに関してはシンプルな方が料理が映える気がするんです。
そう思っている中でいままで見たことがなかった、真っ白でシンプルな古い沖縄のうつわに
出会えたことは、自分の中で自信に繋がりました。

これが精神的な支えにもなっていて、いま新しい作品づくりに取り組むことができているんです」

土から生まれしもの

宮城さんが取り組んでいる新しい表現のひとつ、黒釉のうつわ。
これまでの青いうつわの印象とは異なる、渋くて、土を感じるものになっています。

金子「このうつわ渋くて素敵ですね!」

宮城さん「独立当初は、主にうつわ自体の見映えが良いものを作っていましたが、元々は土の素材感や釉薬の質感が表れているものが好みなんです。

日々制作する中で、そういう作品を自分の手で生み出したいという思いがどんどん強くなってきて」

金子「その結果誕生したのが、この黒釉であり、粉引、灰釉のうつわなのですね」

宮城さん「地味で、渋めだけど、料理が映える。そういう、うつわを目指しています」

黒釉はマットな黒と光沢のある黒が合わさった独特の質感が特徴。

粉引は土本来の風合いが出ている優しい印象。

そして灰釉は、湖水のような釉薬のたまりがとても美しいうつわです。

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宮城家の食卓