くらしをつくる人NOTE

Vol.1
2016.03.01
景色盆栽作家 小林健二さん

植物には優しい心で触れる

小林さんに実際に景色盆栽を創っていただきました。
デニム地の籠手をつけて盆栽の製作がはじまります。

優しい表情で、植物に触れる小林さん。

小林さん「盆栽で一番大切なのは根っこの手入れなんです。これをきちんと行わないと養分や水分をしっかり吸い上げてくれないので、すぐに植物が弱ってしまいます」

根っこから土を落とす仕草がなんともセクシーな小林さん。
出てきた根っこも艶やかな美しさです。

小林さん「こうやって、元々ついていた土をきれいに落として根っこの素のままの姿を確認するんです。長さが植物の高さに対して長すぎる場合は剪定します。根を見て、病気や弱っていた場合は、その植物は盆栽には使わず、養生にまわします」

私たちが目にしている、盆栽の葉や枝や花だけではなく、
小林さんは目に見えない植物の根、そして盆栽を植える土にもこだわりをお持ちです。

小林さん「盆栽は育てるのが難しいと考える方が多いので、“育てやすさ”を考えて、根をきれいにして水はけの良い土でしつらえています」

雨晴「実際にお店で水やりをして何度か水を注ぐと、鉢の穴からしっかりと水が出てきます。これは水はけの良さを考えて土を配合しているからなんですね」

小林さん小林さん「鉢の中の水を一度入れ替えるくらいのつもりで水をあげてください。そうすると新鮮な水と酸素が大好きな根が喜び、植物自体が元気になりますよ」

景色盆栽とくらす愉しみ

雨晴「先程、家庭の中で植物を通じて会話が生まれるといったお話がありましたが、
小林さんが考える盆栽とくらす愉しさを教えていただけますか?」

小林さん「何でも便利な現代のくらしの中で、
少しだけ手間をかけることで人生の豊かさに繋がることがあると思うのです。
いつもより少しだけ早く起きて植物にお水をあげるとか、
時間があるときに剪定をしたり、針金をかけるとか。
景色盆栽の中でも四季がきちんと巡っているので、季節のうつろいに気がつくことも心の豊かさに繋がりますね」

小林さん「少し、待っていてくださいね」そう言って席をはずされ、しばらくすると、

小林さん「はい、どうぞお召し上がりください」

なんとお茶と一緒に愛らしい景色盆栽が添えられて出てきました。

小林さん「例えば、景色盆栽におもてなしの気持ちを込めて、お茶と一緒にお出しすることもできます。」

雨晴「この景色盆栽から会話が生まれますし、つい笑顔がこぼれてしまいますね」

小林さん「このトレイは作家仲間のShimoo Designさんのもの。お湯呑は同じく作家仲間の田中信彦さんの作品です」

雨晴「コーディネートもとても素敵です」

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人も自然の一部